モバイルバッテリーが発火する理由とは?事故を防ぐための選び方&対策まとめ

モバイルバッテリーが発火する理由とは?事故を防ぐための選び方&対策まとめ 電源タップ・USBハブ

毎日持ち歩くモバイルバッテリー。便利な反面、取り扱いを誤ると発火という深刻な事故につながることがあります

とくに夏の高温環境や充電しっぱなし、落下による内部破損、粗悪品の使用はリスクを一気に高めます。

本記事では、発火の主な原因をやさしく解説し、実際に起きた事例やリコール情報も紹介。あわせて、今日からできる安全な使い方、危ない製品の見分け方、PSEや保証のチェックポイント、そして信頼できるおすすめ機種まで案内します。

まずはお手持ちのバッテリーを見直し、モバイルバッテリーの事故リスクを賢く回避していきましょう。

 

モバイルバッテリーが発火する原因とは?

モバイルバッテリーが発火する原因とは?

モバイルバッテリーは、スマホやタブレットの充電に欠かせない存在ですが、内部に搭載されているリチウムイオン電池は取り扱いを誤ると発火・爆発の危険性があります

 

① 内部の劣化や破損

モバイルバッテリーは、充放電を繰り返すうちに内部の劣化が進みます。

特に電極を隔てる「セパレーター」が破損すると、プラス極とマイナス極が接触し内部短絡(ショート)が発生。これにより一気に発熱・発火する危険があります。

また、落下や強い衝撃で内部構造が損傷しても同様のリスクがあるため、使用中・保管中ともに丁寧な取り扱いが必要です。

 

② 高温・炎天下での使用・放置

炎天下の車内や直射日光下では、モバイルバッテリーの表面温度が60℃以上になることもあります。高温下では内部の電解液が膨張してガスが発生し、熱暴走を引き起こす恐れがあります。

消費者庁の事故情報データベースにも「夏場に車内放置したモバイルバッテリーが発火し、車両の一部を焼損した」という事例が報告されています。

消費者庁には、モバイルバッテリーに関する事故情報が平成25年6月から令和元年6月末までに162件寄せられています。中には、公共交通機関の中で事故が起こり、運行が遅延したり、火災が発生した事例もありました。

引用元:消費者庁「モバイルバッテリーの事故に注意しましょう!-帰省や旅行の時期、公共交通機関の中での事故は特に危険です-」

 

③ 過充電・過放電

フル充電のまま長時間つなぎっぱなしにする「過充電」や、完全に放電させて長期間放置する「過放電」は、電池内部の化学反応を不安定にし、劣化や発熱を招きます

多くの製品には過充電防止機能がありますが、安価な製品や劣化したバッテリーでは機能が不十分な場合もあるため、充電後は早めにケーブルを抜く習慣が大切です。

 

④ 粗悪品やノーブランド品のリスク

安全機能が省かれた粗悪品は、発火リスクが非常に高くなります。特にPSEマーク(電気用品安全法適合表示)がない製品や、製造元が不明で極端に安価な商品は要注意です。

経産省の発表でも、ノーブランド品のモバイルバッテリーによる火災・やけど事故が複数報告されており、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが推奨されています。

(1)リコール対象製品でないか、リコール情報を確認しましょう。
(2)新規に購入する際は、PSEマークを必ず確認しましょう。
(3)製品本体に強い衝撃、圧力を加えない、高温の環境に放置しないようにしましょう。
(4)充電中は周囲に可燃物を置かないようにしましょう。
(5)膨らんでいる、熱くなっている、変な臭いがするなど、いつもと違って異常を感じたら使用を中止しましょう。
(6)充電コネクタの破損や水ぬれに注意しましょう。
(7)公共交通機関での事故を避けるため、持込規則を確認して、それに従いましょう。
(8)使用済みモバイルバッテリーはリサイクルに出しましょう。やむを得ず廃棄する際には他の家庭ごみと区別して出しましょう。

引用元:消費者庁「モバイルバッテリーの事故に注意しましょう!-帰省や旅行の時期、公共交通機関の中での事故は特に危険です-」

 

実際に起きた発火事故とその影響

実際に起きた発火事故とその影響

猛暑が続く中、ここ数年ではモバイルバッテリーが原因となる発火事故も全国で相次いでいます。

電車内での発煙による運行停止や、自宅・宿泊施設での火災など、その被害は小さくありません

東京消防庁やNITE(製品評価技術基盤機構)も注意を呼びかけており、実際にリコール対象となった製品も多数存在します。

ここでは、実際に報告された事例を取り上げ、その影響の大きさを見ていきましょう。

 

事例① 電車内での発火により遅延

2025年7月、山手線内でモバイルバッテリーが突然発火し、車両は緊急停車。安全確認のため運行が一時ストップし、多くの乗客が遅延の影響を受けました。

このように、真夏の高温や衝撃が発火事故の引き金となるケースは少なくありません。公共交通機関内での事故は、大きな混乱を招くことになるので特に注意したいところです。

20日、JR山手線の電車内でスマートフォンを充電していたモバイルバッテリーから火が出て乗客5人がけがした火災で、出火したモバイルバッテリーは、発火などのおそれがあるとして、リコールの対象になっていたことが捜査関係者への取材でわかりました。
バッテリーの所有者は「充電中にバッテリーが熱くなり30秒くらいで発火した」と話しているということで、警視庁などが出火原因をさらに調べています。

引用元:NHK「JR山手線 出火したモバイルバッテリー リコール対象か」

ちなみにこの火災は、乗客5人がけがしたという情報もあります。バッテリーはリコール対象品だったという点も、話題になりました。

 

事例② 宿泊施設や自宅での火災

東京・新宿区のワシントンホテルで起きた火災についても、室内にあったモバイルバッテリーの焼損が原因とみられています。消防によると、火は約20分で鎮火し、宿泊客や従業員にケガはありませんでした。

なお宿泊施設や住宅などの密閉空間での発火は、煙の充満や避難遅れなど二次被害につながるおそれがあります。

外出中などの充電は極力避け、目の届く範囲で使用することが重要です。

 

リコール・自主回収された製品例

直近数年でも、複数ブランドのモバイルバッテリーが過熱・発火のおそれで回収されています。代表例をピックアップします。

※最新状況は各社・公的サイトで必ずご確認ください。

メーカー 詳細
Anker
(アンカー)
2024年9月、「Anker 334 MagGo Battery(PowerCore 10000)」ほかで自主回収。
当該製品および周辺を焼損する火災が発生したため回収・交換対応。
さらに2025年6月、既存の回収に加え「Anker Power Bank(10000mAh, 22.5W)」「Anker MagGo Power Bank(10000mAh, 7.5W, Stand)」の2製品を新たにリコール対象へ追加。
交換/返金に対応。参考:Anker 製品回収情報
CIO 「SMARTCOBY Ex01 SLIM Qi2 & CABLE」を回収・返金。
発火するおそれがあるとして公表(国内での発火事象も告知)。参考:CIO ニュース
Belkin
(ベルキン)
「BoostCharge Pro Fast Wireless Charger for Apple Watch + Power Bank 10K(BPD005)」を過熱・火災のおそれでリコール(返金)。

参考:消費者庁 リコール情報サイト

cheero
(チーロ)
「cheero Flat 10000mAh」でリコール対応を継続案内(サポートページで回収・交換の案内)。

参考:chreeroからの重要なお知らせ

 

発火リスクを減らすためにできること

発火リスクを減らすためにできること

普段の取り扱いで気をつけるべきこと

  • 充電中に放置しない:就寝中・外出中の充電は避け、目の届く場所で。可燃物(布団・紙・ソファ)の上での充電はNG。硬く平らで放熱しやすい場所に置く。
  • 温度管理を徹底:直射日光・ヒーター付近・密閉ボックスは避ける。使用/充電の目安はおおむね0〜35℃、熱いと感じたら即ケーブルを抜いて冷ます。
  • 車内放置NG:夏の車内は60℃超も。ダッシュボードやトランク放置は劣化・膨張・発火の原因。
  • 落下・圧力を避ける:カバンの底で重い物に押しつぶされる、椅子で踏む等も内部破損の原因。ケースに入れて持ち運ぶ。
  • ケーブル/充電器は規格適合を使用:端子が緩い・被膜が割れているケーブルは交換。出力(W)・電圧/電流が製品仕様に合うACアダプタを使う。
  • 同時充電は最小限:モバイルバッテリーを別のバッテリーで“連結充電(デイジーチェーン)”しない。過熱・制御異常のリスク。
  • 保管は半充電で:長期保管は残量40〜60%、涼しく乾燥した場所へ。完全放電の放置や満充電の放置は劣化を早める。
  • 異常サインを見逃さない:膨らみ・異臭(甘い/薬品臭)・異音・変色・触れないほどの高温は使用中止。可燃物から離し、冷ましてから処分手続きを。
  • 万一、発煙・発火したら:無理に触らない・口で吹かない。可能なら通電を止めて離れ、周囲を避難。小規模なら水で冷却/消火も有効な場合があるが、危険を感じたら速やかに119番。

まずはモバイルバッテリー=危険があるものだと認識して使うことが大切です。たとえリコール対象製品でなくとも、火災となるリスクがあることをしっかりと覚えておく必要があります。

普段使いする際も、放置してしまったり、落下させてしまったりといったことのないように気をつけておきましょう。

異常がある場合はすぐに使用を中止することも重要です。

 

使用年数・寿命を意識する

  • 買い替え目安は2〜3年:リチウムイオン電池は消耗品。充放電サイクルで内部抵抗が上がり、発熱しやすくなる。
  • 「即交換」の判断基準:膨張、異臭、発熱の頻発、残量表示の異常、充電が極端に遅い/早いなどの症状が出たら使用停止→買い替え。
  • リコール/自主回収の確認:型番を定期的に検索し、メーカー/公的機関のリコール告知をチェック。該当時は直ちに使用中止。
  • PSE・保証を活用:新規購入はPSEマーク・過熱/過電流保護・温度管理機能・1〜2年保証のある製品を選ぶと安心。
  • 正しい廃棄:一般ゴミは不可。家電量販店の回収BOXや自治体の小型家電回収へ。テープで端子養生すると安全。

リチウムイオン電池は“消耗品”です。使用頻度が高くなくても2〜3年での更新が目安となるでしょう。

購入月を本体や箱にメモしておくと交換判断がブレません

なお廃棄する際は、自治体や家電量販店の小型家電回収へ。一般ゴミとして捨てないように注意しておきましょう。

 

危ないモバイルバッテリーの特徴とは?

危ないモバイルバッテリーの特徴とは?

PSEマークがない

日本で販売・使用されるモバイルバッテリー(携帯用リチウムイオン蓄電池)は、電気用品安全法(PSE)適合が必須となります。

本体ラベルに PSEマーク(通常は丸PSE)事業者名(製造・輸入事業者)型式定格(V/A/W)容量(mAh もしくは Wh) が明記されているか確認しましょう。

箱だけにPSE、マニュアルだけにPSEがあり、本体に何も記載がないのは要注意です。

またCE・FCC・RoHSなど海外適合ロゴは、日本の法令適合とは別物です。それだけでは安全の担保になりません。

 

レビューが少ない・不自然

レビューが異常に少ない、または高評価でも同日に★5が大量投稿、日本語が不自然、写真が同じ構図ばかり──こうしたパターンは信頼性に欠けます。

「高評価だが具体性がない」「発熱・膨らみ報告に出品者がテンプレ返信のみ」も赤信号。

購入前に最新の低評価レビューQ&A欄を必ず確認し、発熱・異臭・膨張の報告が続いていないかチェックをしておきましょう。

 

価格が極端に安い

相場から大きく外れる価格は、安全機構の省略やセル品質の低さを疑うべきサインです。

目安として、10,000mAh・PD(18〜20W)対応の正規品で、常時1,000円台前半は怪しいレベルです。タイムセールで一瞬安いのはアリでも、恒常的に激安で売られているものは要注意です。

また価格が極端に低いものは、発売日が古かったり、中古品であったりという場合も。

劣化が疑われる製品になりやすいので、基本は避けましょう。

 

製造元やメーカーが不明

ブランド名だけで製造・輸入事業者の実体が追えない、会社住所やサポート窓口が曖昧といった製品は、回収や保証に応じてもらえないリスクが高いです。

この頃は多くのブランドやメーカーがモバイルバッテリーを販売しています。できるだけ信頼のおける製造元・メーカーの製品を選ぶようにしましょう。

購入時は保証期間(1〜2年)の有無サポート連絡先リコール告知の履歴が確認できるかもチェック。

購入先のショップが正規取扱店であるかも確かめておきましょう。

 

【2025年最新】安全&信頼性の高いモバイルバッテリーおすすめ3選

Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W

  • タイプ(容量/出力):10,000mAh/USB-C PD 最大25W
  • サイズ・重さ:約106 × 52 × 25mm・約194g
  • 安全対策機能:Anker独自MultiProtect(過電圧・過電流・温度管理 ほか)
  • PSEマーク:PSE技術基準適合(国内正規品)
  • おすすめポイント:小型軽量×25Wでスマホ急速充電の“ちょうど良い定番”。迷ったらコレ。    

 

CIO SMARTCOBY Pro(30W/10,000mAh)

  • タイプ(容量/出力):10,000mAh/USB-C PD 最大30W(PPS対応)
  • サイズ・重さ:約77 × 56 × 26mm・約183g
  • 安全対策機能:過充電・過電流・過放電・過電圧・短絡・温度保護
  • PSEマーク:国内メーカー正規流通(PSE対象製品)
  • おすすめポイント:カードサイズ級のコンパクトさで30W出力。iPhone/Androidどちらも速い。 

 

Anker Power Bank(20,000mAh, 30W, USB-C×2)

  • タイプ(容量/出力):20,000mAh/USB-C PD 最大30W(2ポート同時可)
  • サイズ・重さ:約153 × 71 × 28mm・約462g
  • 安全対策機能:Anker MultiProtect(温度管理・過電流・短絡保護 等)
  • PSEマーク:国内正規品はPSE適合
  • おすすめポイント:ノートPCの“いざ”にも効く30W×大容量。出張・災害備蓄にも。 
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Q&A|モバイルバッテリー発火に関するよくある質問

Q:飛行機に持ち込めるの?

モバイルバッテリーは、機内持ち込みOKです。ただしいくつか注意点があります。

まずはモバイルバッテリーの容量・個数の制限です。機内に持ち込みできるのは、160Wh以下のものとなります。なお100Wh〜の場合は、160Wh以下であっても2個までしか持ち込むことはできません。

またモバイルバッテリーは、座席上の収納棚に収納することはできません。手元や座席前ポケットなど、常に状態を確認できる場所においておく必要があります。

さらに機内で充電する場合も、必ず目の届く場所にて行う必要があります。

 

Q:寝るときに充電して大丈夫?

モバイルバッテリーの“就寝中充電”は非推奨です。なぜなら充電中は発熱や異常が起きやすく、気づくのが遅れると危険度が上がるためです。

どうしても充電するなら、次のポイントを徹底しましょう。

  • 可燃物(布団・紙・ソファ)の上に置かない/硬く平らで放熱しやすい場所に置く
  • 純正または規格適合(出力W数が合う)充電器・ケーブルを使う
  • 熱い/異臭/膨らみ等のサインを感じたら即中断
  • 満充電後はケーブルを外す(つなぎっぱなしにしない)

 

Q:安い中華製バッテリーは絶対ダメ?

原産国の問題ではなく、安全要件を満たしているかが最重要です。購入前に次をチェックしましょう。

  • 本体にPSEマークや、事業者名、型番、定格・容量(Wh)表記がある
  • 過充電/過電流/温度保護など保護回路の記載がある
  • 保証(1〜2年)とサポート窓口が明記されている
  • レビューの低評価に「発熱・膨張・異臭」などの報告が多くない

条件を満たすブランド(例:Anker、CIO、Belkin、cheero等)の国内正規品が安全で結果的にコスパも良いです。

 

Q:モバイルバッテリーの捨て方は?

家庭ゴミに出すのはNGリチウムイオン電池はリサイクル回収が原則です。

以下の点に注意しておきましょう。

  • 端子をテープで養生(ショート防止)
  • 家電量販店の回収ボックスや自治体の小型家電回収へ持ち込み
  • 膨張・異臭・発熱など異常がある場合は、可燃物から離して保管し、自治体の指示に従う

購入店やメーカーに回収プログラムがある場合は、そちらを利用してもOKです。

 

まとめ|“知らなかった”では済まされないリスクも

まとめ|“知らなかった”では済まされないリスクも

モバイルバッテリーは便利な一方で、発火事故は現実に起きています。守るべきは「選び方」と「扱い方」です。

購入時はPSEマーク、保証、保護回路の有無、メーカーの実体を確認しましょう

また充電は可燃物のない硬く平らな場所で行い、就寝中や外出中の無監視充電は避けてください。高温環境や落下・圧迫を避けるだけでもリスクは大きく下がります。

電池は消耗品ですので、2〜3年を目安に見直し、膨らみ・異臭・異常発熱・動作不安定があれば即交換を。処分は自治体や家電量販店の回収を利用し、型番でリコール情報の定期チェックも忘れずに。

極端に安い製品や表示が曖昧なものは避け、今日から“安全第一”の運用に切り替えましょう。

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